生態系には,本来多少の撹乱があっても,元のレベル(平衡点)あるいは同じ領域(ドメイン)に留まることができる復元力が備わっている.しかし,近年の生物多様性の消失や生態系の劣化のスピードは,そうしたバランス力を維持できる閾値を超えている.私たちの研究室では,生態系のバランスの維持機構や崩壊機構を,生物と環境の相互作用の観点から解き明かす研究に取り組んでいる.その学問的基盤となるのが生態学である.生物の個体数,種数,食物網の構造,さらにそれらに関わる物理的・化学的要因が,どのような時間・空間スケールで変化(維持,崩壊)しているかについてのしくみを解明し,予測する研究に挑んでいるのである.こうした成果は,学術論文などを通して世界に発信するとともに,生態系や生物多様性の保全・管理のための具体的な提言として広く社会に発信している.

これまでの実績

  1. 生食連鎖と腐食連鎖の相互作用
  2. 房総半島におけるシカ個体群の動態と生態系インパクト
  3. 池沼や森林における侵略的外来種と希少種の相互作用
  4. 生態系間のつながりが駆動する群集動態
  5. 食物連鎖の長さが決まるしくみ
  6. 種分化理論

これからの研究課題

  1. 侵略的外来種を中心とした生物間相互作用と生態系管理
  2. メタ個体群理論と景観生態学的手法の統合による里山生態系の生物多様性維持機構の解明
  3. 生物多様性の広域評価と将来予測
  4. 野生動物の分布拡大モデリングをその管理への応用
  5. 送粉共生系の多様化・種分化理論
  6. 資源パルスが駆動する群集動態